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<報告>5/11,25 前期キリスト教講座

 

2017年度 前期キリスト教講座

「ヨハネによる福音書」の文学的特徴について

 

本年度の前期キリスト教講座は、5月11日(木)、15日(木)、遠藤勝信本学教授を講師に迎え開催された。出席者は第一回36名、第二回40名。

 

第一回テーマは「執筆者ヨハネの文化的背景を中心に」。近代以降の歴史批評学においては、「ヨハネによる福音書」の著者性は、伝承の責任者(個)にではなく、共同体に置かれるのが一般的である。しかしながら、今回の講座では、教会が紀元2世紀初頭から継承したヨハネ執筆説に「仮に」立った場合、見えてくるものに注目した。

イエスが公生涯を送った地はユダヤであったが、それを福音書に纏めた著者が立っていたのは小アジアであった。そこは膨大な蔵書を誇る図書館や劇場をもつ学術都市だった。つまり、ヨハネはヘレニズム文化を背景に生きた人々を無視して福音書を書いてはいないことを留意すべきである。

尤もヨハネは、幼少期より、ユダヤ人としての教育を受け、聖書の朗読を通して様々なジャンルの文学形式(物語や知恵文学、格言、ドラマ、詩文、預言文学、黙示文学など)にも通じていた。そのことが、彼の福音書にも反映している。

例えば、序文に「初めに 言(ことば)があった」とあるが、これは文学構造的にも内容的にも「旧約聖書」の「創世記(創造物語)」の序文と対応していることが、講義の中で詳しく解説された。ヨハネはイエス・キリストの訪れを新たな時の始まりと認識し、「創世記」を再述したと考えられる。

 

 第二回テーマは「葡萄の木の喩え話」について。最初に、東京女子大学のチャペルに置かれた燭台について話が進められた。そこには、二つのモチーフが重ねられている。一つは「七本の蝋燭」で、それはヨハネの黙示録1章にある「七つの燭台」を、もう一つ、「葡萄の枝」はヨハネによる福音書15章の「葡萄の木の喩え話」で、何れも「教会」を象徴するモチーフである。

 講義では、その「葡萄の木の喩え話」について詳しく学んだ。はじめに、聖書の「喩え話」という文学形式の解釈の原則について学び、続いて「葡萄の木の喩え話」を読み解いた。

 まず、この喩え話が置かれているテクストとコンテクスト(文脈)の関係について。「葡萄の木」は旧約聖書の時代から「神の国」を象徴するモチーフ(エレミヤ書、イザヤ書等で)だが、実を結ばぬ民を神が嘆く文脈で用いられてきた。しかし、父なる神は、御子イエスを「まことの葡萄の木」として地に植え、その木に結びつく枝々を通して神の国を完成させるという希望こそ新約聖書の語る福音(良き知らせ)である。

 聖書を、その文学的特徴に着目して読むことの面白さ、楽しさをこの講義を通して覚えさせられた。


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