ホーム >同窓会について > 72年館だより過去一覧 >長く暑い夏の後、やっと訪れた短い秋。

長く暑い夏の後、やっと訪れた短い秋。

2010年11月29日

 長く暑い夏の後、やっと訪れた短い秋。そして今や冬将軍の足音がはっきりと聞かれるようになりました。商店街は早々とクリスマスムードですが、東京女子大学のキャンパスは、少々遅い紅葉に秋の余韻を漂わせ、大学も同窓会も静かにクリスマスの準備を始めているようです。このところ目につくのは、正門から本館に通じる道の両側のイチョウが黄金色に色づき、ハラハラと美しい葉を落として道を染めていることです。

 この中国原産のイチョウは、仏教と共に日本に渡来した由で、日本人にはなじみ深く色々な思い出を刻んできたようです。幼い頃、仙台で見た大小様々の乳房をぶら下げたような乳イチョウの異様な形状は忘れられない思い出です。私が学生時代、西寮と東寮の間の庭にかなり大きなイチョウの木がありました。あの伊勢湾台風の時でしたか、昼食時校舎から戻る寮生の目の前で、幹のてっぺん1/3程が強風で吹き飛ばされ倒れてきましたが、私たちは危うく難を逃れました。
 
 私は共立女子大学八王子キャンパスに、30年程通いましたが、多摩御陵近くの甲州街道の銀杏並木は見事なものでした。春の芽吹きに始まり、夏には街道に木陰を作り、秋には一週間ほど街道一帯を眩しい黄金色に染めあげました。この銀杏並木は大正天皇奉葬(1927年)を記念して植えられたもので70本以上ある由です。

  日本語ではイチョウの木を「イチョウ」と呼び、実を「ギンナン」と呼ぶのは何故でしょう?「ギンナン」は「銀杏」の唐音読みに由来するらしい。和名「イチョウ」は、あの黄色い葉が散るさまが「チョウチョウ」を連想させるからであろうと私は長いこと思い込んでおりましたが、辞書によりますと葉の形をアヒルの足に見立てた中国語の鴨脚(イアチャオ)のなまりらしいとあり、がっかりしました。
 
 ゲーテの晩年の作品「西東詩集」の中に"Gingo Biloba"という短い詩があります(註)。ヨーロッパにイチョウが伝わったのは1800年頃の由で、遠いオリエントに憧れ植物学者でもあったゲーテは、当時まだ珍しかったイチョウの葉の形に恋人どうしの神秘的な契合をみたようです。
   
         東方から来て私の庭に
        ゆだねられたこのギンゴの葉は
        秘密の意味を味わわせて
        知者の心をよろこばす。
   
        みずからのうちで二(ふた)分(わか)れした
        これは一つの生ける葉なのか?
        一体として認められるほど
        互いに選びあった二つの存在なのか?――――
   
        私の歌々を聞いてあなたは感じないのか
        私は一にして二重なのだと?
                                   (潮出版社「ゲーテ全集」2、詩集2


             (註)イチョウの学名はGinkgo biloba。bilobaは"二つの裂片"の意味(ウィキペディア)

一柳やすか


大学のイチョウ

ph_72_20101129_01.jpg ph_72_20101129_02.jpg

                            正門から本館                           チャペルとイチョウ

 

アドヴェント・キャンドルサービス    11月29日

ph_72_20101129_03.jpg ph_72_20101129_04.jpg

                      本館前クリスマスツリーに点火              オープンスペースのクリスマスツリー

▲ ページの先頭へ戻る