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同窓会の役割

2011年07月01日

去る6月18日・19日、緑したたるキャンパスで、あの大災害の後であるにもかかわらず,例年並みの数の同窓生が全国から参集して総会/支部長会を開催することができた。今年は安井記念ホール・72年館で行われた。支部長会の主な会場が72年館であったためか会館は元気な支部長さんらであふれかえり、それはそれは賑やかであった。これを見る限り「東京女子大学同窓会」は安泰ともみえるが、各支部の実情を聴くと,なかなか厳しいようである。支部長や役員のなり手がいない、まとまった催し物がなかなかできない、など…。本部も会費収入の伸び悩み、役員候補のことなどに頭を痛めている。かろうじてやる気のある会員たちの活動によって命脈を保っている。

こんなことなら同窓会など要らないのでは?などと思っていたとき、今回の支部長会で多くの方々の意見を聴いたなかで特に岩手支部長のKさんの言葉が印象に残った。彼女は被災後まもなく会員の安否をあの手この手で訪ね歩き、苦労して入手したガソリンで満タンにした車で沿岸地方の惨状をカメラに収めて、支部長会の会場に届けてくださった。その彼女いわく、「いくら便りをしてもなしのつぶての人や生死不明の会員にも、辛抱強く便りをすべきである。人間全てを失ったとき、何がその人の生きる拠りどころとなるやもしれないから」。今回の惨状を目の当りにし、肌で受け止めた人の言葉は重いものであった。
  大学にとって現役の学生・教職員は布地の横糸であり、同窓生は縦糸である、と思う。(もちろん横糸がやがて縦糸になるのであるが)。縦糸はあまり目立たないがピンと張っていないとしっかりした布はできない。大学の縦糸は伝統や絆と言い換えてもよいかもしれない。ある役員は「同窓会って何やってるの? そんなにやることあるの?」と友人に訊かれたそうである。現在同窓会員は5万人以上、毎年1000人以上の新入会員が見込まれる(はず)。けっこうな大所帯である。実は私もつい最近まで同窓会の縦糸的役割の重要さ、その縦糸をしっかり紡いでくださった先輩達のご苦労に気づかないで来てしまった者である。ちょうど子供が親の並々ならぬ苦労を知らずにいるのと同じに。今回の大災害は人が生まれてこのかたあって当たり前、そこが人々の拠りどころであった大地や家族や家生計の手段などがあっという間に根こそぎ奪われてしまうことのあることを私たちに思い知らせた。
  同窓会は地縁・血縁の共同体ではない。典型的な利益共同体でもない。あえていえば文化共同体か? その維持は困難かもしれない。けれどもあるとき突然に何もかも奪われたときに、この東京女子大学同窓会という一種の文化共同体(精神的絆)がたった一人の人の生きる為の(よすが)となることもあるのかもしれない…。Kさんの実感のこもった力強いメッセージは、はらわたの底まで染みとおった。
 今回、採算を度外視して同窓会報を、岩手、宮城、福島の三支部の全会員に、郵便事情が回復したのちお届けできたのはよかったと思う。


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