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パイプオルガンとブドウのことなど

2011年09月30日

   このたびの二度にわたる大型の台風により、大きな被害を受けられた各地の皆さまにお見舞い申し上げます。高知から三重にかけての10支部の方々より大きな被害はなかったとのご連絡をいただきましたが、ご不自由をお察しいたします。また、東日本大震災の被災地では復興に支障が生じていることにも心が痛みます。各地域の一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。 

 

 9月17日、山梨英和学院のグリンバンクチャペルで行われたオルガンコンサート(東京女子大学同窓会山梨支部主催)を聴きに行った。あの3月11日の大震災で方々の建造物やパイプオルガンなども被害に遭ったと聞いていたので、元校長の薬袋先生に伺ったところ先生は私の質問が意外というようなお顔で「大丈夫ですよ」と確信をもって言われた。それもそのはず、建物、オルガンが実に堅牢にできている上に先生が校長在任中の数年前、耐震改修工事がされていたのである。

チャペルは木造の由で明るくシンプルであった。何といっても目立つのは正面に左右対称に配置されたオルガンの美しいパイプである。演奏台が手前にあるので演奏(手と足とを用いた)の一部始終がよく見える。中内先生のバッハを中心とした演奏はこの「世界にひとつしかない」オルガンの魅力を先生の優れた感性と技で十二分に引き出して聴衆を魅了した。演奏の中間部でなされた「オルガンの魅力――その特徴と音色の不思議」と題する先生のお講義も普段なかなか聴くことのできない密度の濃いものであった。懇親会の時にこのパイプオルガンについて先生の感想を伺ってみた。先生曰く「いかにもドイツ人らしいしっかりした造りで音が安定している。まさにバッハを弾くにふさわしい」。ちなみにこのオルガンはドイツ人M・プフリューガー氏の手になるもので、南ドイツ・バロック期の特徴をもつとのこと。

さて懇親会の各テーブルに、名物の立派な甲州ブドウが供せられていた。日本に中国からブドウが輸入されたのは鎌倉時代初期の由だが、初めて栽培されたのは甲斐の国・勝沼であった由。ブドウの木は植物のなかでも特別にシブトイ由。品種にもよるであろうが,一般にブドウの木(とくにワイン用)は地味の痩せた乾燥地に育ったものほど優れている。そして少なくとも8-10年ほどかけて地下25メートルもの深さまで根を伸ばしじっくりと岩石などを通して滲み出してきた水分を吸い上げるのだそうである。要するにブドウの栽培には気の遠くなる様な時間と根気が必要なのである。

ブドウ(ブドウの木、ブドウ酒、ブドウ園)は聖書にしばしば登場し、キリスト教文化と深い関係にある。そしてキリスト教は何百年もかけて大聖堂を建ててきた(たとえばケルンの大聖堂)。その聖堂の中枢的役割を担うものとしてパイプオルガンが発達した。ブドウ――聖堂――パイプオルガン、どうやらブドウづくりに共通するシブトサ(あるいは堅牢さ?)のようなものが、ありはしないか。           

(おことわり)ブドウづくりについて私は全く無知で専ら文献に頼っているので、もしかして間違ったことを言っているかもしれません。その道に詳しい方々に教えていただきたいと思います。 

 

参考文献
『食べ物からみた聖書』(河野友美/日本キリスト教団出版局)
2.jpgのサムネール画像『風土』(和辻哲郎/岩波文庫)
『パイプオルガン奉献記念演奏会』(山梨英和女学院)
ウィキペディア「ブドウ」                                                      

                                                      一柳 やすか                                           

                    


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